最初は、深い湖の底で生まれた形を持たない不定形の黒い靄のようなものだったが、人間の女が身投げしたことで、それを喰らい人の形を得た。
それからは、人間を好んで喰らうようになり、いつしか、ある目的の為に人間と契約を結ぶようになった。
世界の理としての役目は、「他者の願いを一つ叶える代わりに、呪いを一つ与える」こと。
他者の願いを叶えると言う一点においてのみ万能に近い力を発揮するが、代償として与えられる呪いは相応に重くなり、その願いすらも歪められてしまうこともある。
呪いの種類は様々であるが、命や寿命を奪うなど、対象の未来を縛るものが多い。
願いの代償である呪いは、闇の精霊の種である。
普通の呪いであれば自我を蝕み狂わせるだけだが、次の寄生先の候補に選んだ者には固有の闇に関する能力を与え、上手く育てば次の入れ物にするか、吸収して力とする。
そうして、人間に寄生しては宿主の魂を喰らい、その体を乗っ取ってまた新たな寄生先を探すことを幾度と繰り返し今に至る。
白は食われて吸収されるはずのところを、先代の精霊と戦い勝利することで生き残ったが、その際に自分の中にある闇が精霊の亡骸を喰らい、人としての生は終わりを迎え、先代の力・記憶・目的・役割を引き継ぎ、精霊に成り替わった。
白の人格と記憶は心臓にあるので、精霊から受け継いだものの影響を受けてはいないが、役割だけは本能的に理解している。
黒は全て引き継いでいるため、先代達の記憶や意識に強く影響を受け、今後は目的を果たそうとするだろう。
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